これからの公園の可能性についてさまざまなゲストと議論していく「KPBライブトーク」。2021年3月末の『KAKAMIGAHARA PARK BRIDGE(通称:KPB)』オープンに向けて、建設現場から9回にわたって配信していきます。第5回は子供たちの遊び方や親と子供の関係についてトークしながら、KPBづくりの裏話にもふれています。
完成間近!KPBの内側をちょっぴり公開
本日は子どもたちの学びや教育をテーマにお話しを聞いていただきたいと思います。まずは自己紹介からお願いします。
初めまして、メディアコスモスの吉成です。私はもともと岐阜の人間じゃなくて、東京生まれ東京育ちなんですね。
で、宮沢賢治がずっと好きで、宮沢賢治の住んでいた岩手に家族を連れて移住しちゃいたいということで39歳のときにポンと、誰も知り合いがいないのに岩手へ飛んで。それからがはじまりで「石と賢治のミュージアム」という博物館を本当につくることになりました。
「森と風のがっこう」のイメージイラスト。
そのあとに「岩手県立児童館いわて子どもの森」の初代館長を7年間やりました。遊びを通じて子どもたちの豊かな感性を育むための施設なので、非常にKPBと共通点がたくさんあると思いますし、今日はその話ができたらいいと思います。
もう一つは、零下20度にもなる11世帯しかない集落の中で「森と風のがっこう」をつくりまして、それは20年やりました。それをやってから岐阜へ来て、図書館長など色んな仕事をしています。
でもやっぱり一番中心にあるのは、子どもです。子どもの豊かな感性や、あの感受性みたいなものをどうやって育むのかっていうのは僕の一番大元にあるテーマなので、そういう意味では図書館であろうが野外であろうが一緒ですので、そういう話が今日はできたらいいかなと思っております。よろしくお願いします。
この自己紹介のあとに…。吉成さんの隣に座って話すのがすごいプレッシャーなんですけど(笑)。
そんなことないですよ(笑)。
「森のわくわくの庭」にあるボールプール。
飛騨五木の渡邊と申します、よろしくお願いします。普段はですね、岐阜県の養老町と輪之内町にある「森のわくわくの庭」という施設の運営に携わっております。こちらのKPBでは、各務ヶ原市様へのプレゼンテーションからはじまりここ1年半ぐらいこのプロジェクトの準備をひたすらやっています。
(完成まで)あっという間ですけどね。
はい。普段はまったく表に出る仕事じゃないので、もう二度と出ないかもしれないですけど(笑)。裏話なども聞いていただければお答えできるので、いろいろコメントでご質問いただければと思います。よろしくお願いします。
早速コメントが来ていまして、スマイルなっちゃんさん『公園で絵をかきたいです』、ゆみかママさん『素敵な場所がいっぱいあって各務原の方がうらやましいです。東濃地方です。コロナ終息したら、遊びに行きたいです』、古山智也さん『こんばんは。2人の子どもがいるので楽しみにしてまーす』。ありがとうございます。
せっかくだから、この現場をぐるーりと映せますか?皆さんほんとすごいですよ。渡邊さん、少し解説ってできますか?
骨組みはこんな感じ。
“スケートボードのジャンプ台”が一番分かりやすい表現かもしれないですけど、これ、オール岐阜県産材の木でできています。合板で覆われているのでわかりにくいんですけど、中の骨組みも本当に木です。
天井も木をふんだんに使ったトラス構造(三角形を単位にした骨組み構造)ですし、今、電車の音が聞こえますけど、昼間はこの目の前を通る電車が中から見えるようになっています。ちょっと奥にはトンネルがあったり、そのさらに奥には巨大な坂道があって、ロフトがあって、そこにネットがあって…そんな遊び場になっています。吉成さん、いかがですか?30分ぐらい前に初めて足を踏み入れていただいて。
本業を思い出しますね。岐阜に来てからは全然そういうことやってこなかったんですけど、(岩手では)当たり前のように毎日そういう場所にいましたので。
僕の目から見ると、これは大型の児童館にも見えるし、森のようちえん的なものも入っているし、色んな要素がこの中に入っている感じがすごくします。きっと子どもたちがここで走り回ったり、ぼけーっとしていたり、もう目に見えるような感じがしますね。色んな子がいるからね。
吉成さんは全体の企画をやりながらも、かなり細部のことまでご自身でやられていたそうですね。
そうですね。楽しい施設って、遊びなので遊具もそうなんだけど、やっぱり楽しいプログラム(が重要)。楽しいものがあってほしいので、僕が「岩手県立児童館いわて子どもの森」をつくったときは、動物のぬいぐるみのおしりが見えるように並べるわけ。カバとかゾウとかトリとかね。お尻から“びー”ってうんちが引き出せるようになっていて、そこに張り紙があって、「出したうんちは元に戻してください」って。
企画して自ら遊んでいる感じですね。
本当に!僕がやりたいことをやっています。もう一つだけ言うと、東北は冬が長いので、寒いじゃないですか。ずっと雪に閉ざされるから、ハワイとか南国の楽園が憧れなんですよね。なので図書館をつくったんですけど、そこにヤシの実と海岸を再現して。水はないんですけども。
で、そこにハワイアンミュージックを流して、床上の家もつくりました。その中で寝転がって本が読めるような、そういう部屋をつくったんですね。そしたらね、孫と一緒に来たおばあちゃんが疲れて寝ていたりするんだよね、そこで。それもやってみてわかることでしたね。KPBがオープンしたら、そういう何か楽しいもの、意外な風景がたぶん毎日見られますね。
外でもなく内でもない、“縁側”みたいな場所
今までつくってきた施設とKPBって、違いとかあったりするんですか?
もうまったく違いますね。(会社としては)3店舗目という扱いにはなるんですけど。もともと、養老店と輪之内店はスーパーの空き家をリフォームしてつくった施設だったので、外は幹線道路とスーパーがあるようなところ。まったく自然がなかったんですよね。
一方ここは、すぐ出たら学びの森があるし、市民公園もあるし、これだけ自然のロケーションがあるのに、『施設の中に入ってください』ってちょっと妙だというか。
そうそう!子どもの体の感覚から言えば、間違いなく外へ飛び出すし。雨が降っていても『雨の森っていいもんだぜ』とか言うと、『そうなんだ』と思って本当に子どもたちはそういうふうになりますね 。
そうなんですよね。それを閉じ込めるのは『ちょっとな』と思って、扉もいっぱいつけて、軒もすごく出しているんですね。
軒は大事だね。外でもなく内でもない、“縁側”みたいな感覚でしょ。縁側が必要なんだよね、子どもには。
雨が降っていても外で遊べるとか、水たまりに落ち葉をためて遊ぶとか。
窮屈な感じがないのはそういうことなんだろうね。やっぱり通常はどうしても初めて入ったときの窮屈さ、みたいなものが屋内施設はどうしてもあるんだけど、ここは外とつながっているでしょ。ガラス対応しているから。まあメディアコスモスなんかも、ちょっとそういう感じがあるんですけど。外でもなく内でもないみたいなのはね。その感覚の微妙な感じっていうのは、“間を取る”っていうことですね。
生活の光が入ったり、季節の移り変わりみたいなものを中でも感じられますもんね。
そうそう、それはすごい大事な要素だと思いますね。
ちなみに、大人も普通に入ってきていいんですよね?
もちろん!こちらの遊び場はちょっと入場料をいただく有料施設なんですけど、入口から入っていただいた外のテラスは、無料でいつでも使っていただけます。散歩しに来て、テラスで本を読んで帰っていただくとか、外でパン屋さんも開くので、そこでパンを買ってもらって食べて帰るとか。
お二人に聞きたいんですけど、親子で来るときって親御さんはどういうふうに過ごされているんですか?こういうところで。
ええとね、(子どもと親で)別れますね。せっかくの土日なのに子どもとお母さんに連れて来られて、『運転手やらなきゃいけないから来た』みたいなお父さんも中にはいますけれども。どっちかって言うと、『一緒に遊びたい』というお父さんの方が最近は多いと思いますね。
今運営している「森のわくわくの庭」という施設は、館内にソファーとかたくさんあるんですよ。イスとか。それは、やっぱり今(吉成さんが)おっしゃられたように、お父さんお母さんも平日に仕事があって『休みたい』っていうのがあると思うので。わざわざ、養老町という遠いところに来てくださったので、(休めるように)遊具のそばにイスを配置していて。
この施設もそういうふうに子どもが遊んでいるところをじっくり見ていられるようなベンチは今後つくろうかなと思っています。
あなたは土管世代?
質問なんですけど、そういうユニークな吉成さんの発想に対して、周りはどういう反応なんですか?ぽかんとしちゃうんじゃないかと思って。
あ~、ぽかんとしていただろうね。館長だったので館長権限で面白いことはやると。で、面白くなかったら、やっぱりそこで『遊びたい』『また来たい』とはならないじゃないですか。それはやっぱりコミュニケーションをするっていうことなので、そうやっていたんですけども。
それと、お行儀のいいお子さんとかも来るじゃない。ワークショップをやるときに僕なんか机の縁に腰掛けながらしゃべるのね。それを見たときにその子はもう驚天動地。今まで『机は座っていけない』というふうに教え込まれてきて、お母さんもそうしてきたのに、『この人は県立の児童館の館長さんなのにどういうことだ』って衝撃を受けていたことがあって。
だけど、そのお母さんと子どもたちはそれからずっと通ってくるんですよ、僕のワークショップに。それでね、100回通ったの。そういう切り替える場所でもある。自分たちもお母さんも色んな気づきがあるし、ラフなところもあったって、ときにはハメ外したっていい。館長はずっとハメ外してるけど(笑)。
『あれでもいいんだ~』みたいなね。
そう!『あれでもいいんだ』っていうのは大事なんですよ。ある意味、“大人のモデル”が今はなかなかないので。大人が逸脱すると、子どもも楽に逸脱できるようになるわけだよ。逸脱しないとすごい窮屈な気持ちを抱えながら生きていかなきゃいけないので、そういう息抜きみたいな意味合いは、実は非常に大きいです。
ナチュラルにやられていたということですね。
今日のテーマが何だったか忘れちゃいましたけど(笑)。お話しを聞いていて思ったのが、公共のあり方って今の言葉がヒントかなと思っていて、家庭で教えられないこと、その番外編を教えられる場所だったのかって。
そうそう。昔は隣近所があったり、それから僕の世代で言うと“原っぱ”があったでしょ。で、のび太がいて、スネ夫がいて、ジャイアンがいて、土管があったのね。でも僕がやってきたことは、土管を再現するところからなんですけど。
土管とかないですよね?
ないですね(笑)。
わりと土管世代っていうのが今ね、40代半ばぐらいまでの人は頷くね。だからお二人よりもちょっと上の人たち。そういう遊びはいつでもはじまるし、初めて会った子どもでも一緒に遊べるね。そういうモデルが今はない。ワークショップとかやりながらそういうモデルをつくってあげると、知らない子同士でも帰るときにはもう仲良くなることができますね。
土管はわからないですけど、建築の端材がそのまま放置された空き家とかが遊び場になっていたとか。子どもの居場所が大人の知らないところで勝手にできていて。
あのね、昔はほっとかれたの。
子どもだけの空間ができないから、こういう施設をつくらないとだめで。
それがヨーロッパとか、特に北欧ですね。デンマークやスウェーデンへ行くと、思春期の子どもたちの居場所である児童館は、“大人が入れない場所”っていうのもあって、視察も入れない。子どもたちを一番尊重するっていう。『日本から来たからどうしても入れてください』って言ったけど、『だめ』って言われて。そのくらい尊重される。
そういうこともときには必要だし、そこまでできなくても、知らない大人と一緒にハメを外す。少しずつハメを外すことで気持ちの楽な状態をつくることも遊びの中には重要な要素としてあると思っています。
“残念ながら”ふわふわじゃない
さっきも話していましたけど、“安心安全”の捉え方もこういう施設って結構色々ありますよね。
『ケガしたらどうするんだ』というのが一番にありますね。ナイーブな話なんですけど、どこまで責任を持つのかということと、責任を自分たちの外につくるのかっていうのがあって。ただの遊ばせ屋じゃないから、遊びを投じた目的って当然こういう施設だと理念があると思うんですよね。そのあたりはどうですか。
弊社は工務店でもあるので、建物を建てることと運営することの両方ができるということで、そこが最大のメリットだと思うんですが、だからこそケガのことはすごく難しい問題だと思っています。
そうだよね!ふつう渡したら終わりだもんね。『あとはやってください』みたいな。
色々な施設を見学させていただくと床もふわふわで、手すりだらけで、柔らかい。絶対に角なんてないっていうのがベーシックなあり方だと思う一方で、中学生・高校生になったら家でゲームして、かすり傷とかまったくわからないまま大人になる可能性がある。それはちょっと怖いことだし、ちっちゃい頃はちょっとケガする機会をむしろつくらないとだめだと思っているので、うちはちょっと残念ながらふわふわじゃないんですよ(笑)。
“残念ながら”ふわふわじゃない(笑)。
僕はね、それは原則としてすごく大事なことだと思っています。県立の方の話なんですけども、入口に5か所ぐらい文章を書いて、『これに納得して入ってきてください』っていうのがありました。やっぱり『ここはそういう施設だよ』ってことを示すことが大事で、遊びは自己責任っていうことですね。それはもう一番初めにあります。
事故は自分の責任。だから別に木に登ることも止めない。だけど、公共施設って『木に登っちゃいけません』って札をぶら下げているところがあるんですね。でもそれだとさ、一生木に登らない大人ができちゃうじゃない。
そう。木に登ると何が危ないのかっていうことを知らないまま終わっちゃうんですよね。
そうです。だからちょっと低いところから落ちてみないとわからない。もちろん安全に配慮しなきゃいけないとかはあるけれども、最終的には自分の責任だと。県立の施設でそういうふうに明示しましたけど、反論はなかったです。今から15年ぐらい前なのに、なかった。だから本当はやればできるし、今もやっていますからね。だからこそ事故は起こしちゃいけないし、未然に防げるところは防がなきゃいけないんですけれども。あと泥だらけになることもオッケー。恐れない。
“よい子観”がすごい大事で、あのちょっと理屈めくんですけども、五味太郎さんってご存知ですかね?絵本作家で『丈夫な頭とかしこい体になるために』っていう本を書いているんだけど、絵本なんだよそれ。そこにまさに“よい子観”がピッタリ書いてあるので、それを言ってもいいですか?
はいはい。ぜひ!
“よい子”ってどんな子?
古い時代と新しい時代のよい子観の2つを書いているのね。まず、僕の育った古い時代のよい子観を言いますね。
『大人の言うことは素直に聞いて、決められたことはきちんと守り、出された問題にはうまく答え、与えられた仕事は黙ってやる。決してサボったりごまかしたりはしない。それが賢い頭と丈夫な体のよい子です』
つまり、文武両道。『健在な精神は健全な肉体に宿る』。これは日本の学校教育で明治時代から大事にされてきた考え方です。それを否定しているわけじゃないんだけど、それだけだとやっぱり苦しいところもあるし、時代に合っていないところもあるので、もう一つの姿を五味さんは言っています。
『言われたことの意味を確かめ、決められたことの内容を考え、必要があれば問題を解き、自分のために楽しい仕事を探し出し、やるときはやるしサボりたいときはすぐサボる。これが丈夫な頭と賢い体を持った、これもまたよい子です』
こういう言い方をしているのね。実はこれ、岩手県の児童館の職員や放課後児童クラブの職員の研修用に使っていました。絵本なんだけど絵本作家・五味さん恐るべしっていう感じで。もう即電話して『すいません!この言葉、テキストに使わせてもらっていいですか?岩手でずっと使いますけど?』『うん、わかった!』とか一言で言ってくれたんで、だから今ここでしゃべることができているんですけど。
基本的に、子どもが主体っていうか、自分が主体っていう考え方ですよね。
そういうことだね。そういう感覚が育たないと、すべてやっぱりよそごと。自分ごとを増やしていって大人になってもらいたい。『 自分で選択できる子どもになってほしいなあ』というのが願いだったんですけどね。
問題を解決する力というか、自分で問題発見する力の方が結局は自分を幸せにしてくれるというか。
それはさ、大人になってもそうだよね!実は同じなんだけどさ、理屈というよりは体でわかっていくようなところがすごくあるので、すごいよね。子どもたちが吸い取っていく力。
自分で決める必要があれば問題を解く。やるときはやる。やらないときはやらないっていうことを自分の中ではっきりさせていくっていうことですね。そうしないと依存する子どもになってしまうので。そういうことも実は遊びを通して、深い学びがある。学びは学校だけじゃないからね。本当にそう僕は思っているんですけど、社会教育はそんな日々の遊びの中にあります。
今、大人でも自分で決められないとか、問題を見つけられないということはきっとありますよね。それが教育のせいかはわからないですけど。
それと思い出してきたんだけど、“人生すごろく”っていうのをつくったんですよ。人間のね。渡邊さんぐらいの大きさのコマをつくっておくわけ。すごろくの場所は全部自分たちでつくっていくから。そうするとさ、秀才で岐阜高校出て、東大出て、一流企業に入って。だけど必ずこけるようにできているのね。必ず、一度は絶対どこかでこける。穴はつくっていって、はい上がるところもあるんだけど。
すごい大人なすごろくですね。
そうだよね(笑)。子どもは好きなんですよ。それでね、ノーベル賞を取ることにはあんまり意義を感じなかったのね、子どもたちが。それで、イグノーベル賞ってあるじゃない。それをすごろくに書いて。『僕は死ぬまでにイグノーベル賞をとって、世界一周をして90歳で死にたい』。そう思いながら回ると、なんか1回人生をやり終えたようになるんだよね。だから、その中には疑似体験があるんですよね。それはバーチャルな世界の体験だけじゃなくて、体を通じて、こういうところで遊びを通してやることも実はできる。
僕はもともと演劇をやっていたのもあるんだけど、「なってみる」というのは想像力だから何にでもなれるじゃない。めっちゃ面白いね。
想像力。想像力大事ね~。
ね、大人になってからね。想像力ってなんか養えないというか。
だけどね、取り戻せるね 、大人も。
そうなんですか!勇気が湧いてくる。
子どもと一緒に遊ぶと親御さんたちも拓かれていきますよ。子どものふりを見ていると、大人の方も思わず笑っちゃたり、楽しくなったりしてくるじゃない。
どこかで制限をしちゃっているんですよね、大人も。『これはやっちゃいけないんじゃないか』とか。子どもだけじゃなくて、たぶん大人たちもそう思っちゃったり。
子育てとか迷いますよね、特に初めてのお子さんの場合はね。だけど周りを見ると、『こんなにくつろいでいいのか』って家族とかもいるでしょう?
『勝手に過ごしていていいんだ』というようなね。
そういうモデルを色々と見つけることで、ギアチェンジすることができるという点では、(KPBのような)こういう空間が本当は大事な場所だと僕は思っています。
大人向けのワークショップもやります!
「森のわくわくの庭」で実験的に行っている子ども向けアートイベント。
今って結構、親子参加型イベントが人気なんですけど、あえてお子さんを預かって、子どもだけの時間と大人だけの時間をつくろうというのを実験的にやっています。そうすると、参加したお子さんが目をキラキラさせて帰ってくるんですよ。2時間ちょっと離れていただけで、子どもってすごい得るものがあるみたいで。
そうそう。別プログラムもありますね。親は親でワークショップをやって、子どもは別でワークショップをやって、どこかの時点で合流するっていうのはよくやったことですね。
親のワークショップってどんなことをするんですか?
『今の遊びって何なんでしょうね』みたいなことからはじまって、『おうちではどうですか?どんな遊びしてます?』とか、『絵本は何歳ぐらいから読ませた方がいいんですか?』『いや、いつでもいいんじゃないですか?』。『年代ごとに読む絵本はあるでしょうか?』『いや、何でもいいんじゃない』とかそういうことをやります。
色々あっていいっていう話なんですけど、そういうことを話せる場所ってあるようでないので、必要なんですよね。
まさに、大人の講座ってことで、平日の夜とかに子どもがいるとか関係なく、大人のためのワークショップをやろうと思っています。絵を描くとか陶芸をやるとか。 この施設も夜を解放して、そういう形で利用してもらいたいなと。
大人たちもモノをつくるとか、触れるみたいなものとか。
そういうところって、カルチャーセンターとかもありますよね。そのためだけのせまい部屋に入ってやるじゃないですか。自然の中でやると出てくるものも違うと思います。
全然違いますよね。やっぱり自然って情報量が一番あるので。風や陽の感じもそうなんだけど。
図書館でいうと、本に囲まれているスペースで対談をやるのと、本が何もない会議室でやるのでまったく違うわけ、話の弾み方が。話の内容がその場に規定されるので、どの場所でやるかってすごい大きくて。外をうまく使うという点では、ハンモックの貸し出しとかやるじゃないですか?ね。きっとやるよね。
そうですね。まさにこの施設では、学びの森や市民公園で使えるアウトドアチェアやテントを貸し出そうと思っています。入場料を払っていただければ誰でも借りられるものです。なので、中で遊んでもいいですし、混んでいるから今日は外にしようということでテントを広げて家族みんなでのんびりしてもらって、夕方返してもらえば全然いいです。
レンタル料みたいな感覚で使えるってことですね。
そうです。お子さんがいなくても来ていい施設になると思うんですよ。一人掛けのイスも一脚からお貸しするので。
イスがそれでさ、全部形が違ったら面白いよね 。
おっ!まさか!打合わせしていないんですけどね。
すいません。うまく話を振っていただいて!実はですね、飲食スペースがこの中に入るんですけど、そのイスっていうのはですね、うちの社員が一人2脚ずつ選んでいまして、たぶん全部違うイスです。
それはさあ、行政の公共施設となると、なかなかできないんですよね。やっぱりそれは大事なことで、色んなものがあった方が自分の好きなものが選べる。今日はどこに座るかっていうことも選んでいるからね。
どこでも座れるし、その座り方も場所によって全然違う。過ごし方も自分で考えられるからすごい面白いですよね。
そうだよね。何か表現するときに絵を描く子もいるし、歌にする子もいるし。みんな違うからね。
それがバラバラで、色んなところで起こっているっていう現象自体が面白いですよね。これ、親たちも楽しいんじゃないかな?
バラバラのイスも発注したっきり、まだ実物を見ていなくてですね。どんな感じになるのかわからないんですけど。
それは楽しみだね。
屋根のある公園
KPBは各務ヶ原市さんと一緒にやっているプロジェクトなんですけど、官民連携している民の側からすると、例えば『夜にここを借りて何かしたい』といった市民の方のご意見を色々いただきたいなと思っています。
この施設を遊び場としてだけじゃなくて、『夜にプロジェクターを使って何か投影したい』とか、そういうのもぜひ色々アイデアをいただきたいです。
イベント的にも、自分たちの好きなように使えるっていうことですね。
本来行政がやる公共空間もあるし、企業がつくる公共空間もあるし、もう色んなところから接近ができて、かなり公共空間の概念が広くなってきています。ここもそういう意味で、公共空間になっていくんだろうね。
位置づけとしては、屋根のある公園という感覚なんですよね。
おっ!それ、メディコスと一緒やね!僕はメディアコスモスを屋根のある公園と読んでいるんですね。形は違っても、つながっていく考え方だと思いますね。
まだ情報公開していないんですけど、3月27日のオープニングイベントでは、すぐそこにある市民図書館の方にご協力いただいて、移動図書を出していただく予定なんです。
外に本を持っていけるんだ!それは図書館としては英断ですね。
移動図書を市民公園に出していただいて、うちからはイスとかをレンタルできるので、イスを持ってコーヒーを飲んでご自由にという。
それは素敵ですね。それはかなり画期的な話だと思いますよ。なかなかない。
KPBというのはそういう意味合いが大きいですもんね。
そうなんですよ。施設を運営しているからって、『全員が中に入らなくてもいい』ともはや思っています。晴れている日は学びの森で、あまりに寒い日は中に入っていただければいいのかなって思うので。オープニングの日にはそういう、色んなデモンストレーションも兼ねてやらせていただくつもりです。
それは楽しみですね。面白いね。
お二人ありがとうございます。今後がますます楽しみになってきましたね!
さて、次回のオンライントークはですね、2月26日19時から「図書館ってこんなことができるの?司書の仕事の今までとこれから」というテーマで配信します。また次回も楽しみにしていただけるとうれしいなと思います。それでは、吉成さんと渡邊さん、ありがとうございました。
ありがとうございました。
第4回